赤い髪留めがキュートな女の子のスタンプ「COCO and Wondrous Gang」。登場キャラクターのココちゃんは、クリエイターズスタンプのサービス開始前から、絵本などで親しまれてきたキャラクターです。
スタンプになっても、ほのぼのとした世界観はそのままで、人気を集めています。
■COCO and Wondrous Gangスタンプになっても、ほのぼのとした世界観はそのままで、人気を集めています。
今回は、作者のRYOさんに、スタンプならではの作り方のコツや、最近気になるオススメのスタンプについて、話を聞きました。
ココちゃんのルーツ
――イラストを描くようになったキッカケを教えてください。
RYO:もともとは映画作りに携わりたくて、アメリカとイタリアに渡って勉強しました。勉強の一環としてアニメーションやコマ撮りアニメを制作していたので、その中で絵は必然的に描くようになっていました。
ココちゃんというキャラクターは、ある日、友だちと公園で何気なく絵を描いていて、帰宅後、公園でたまたま描いた女の子の絵を父に見せたところ、「この子を200ポーズ描いたらきっと何かが起こる!」と言われました。
その言葉に動かされ、描き続けたところ、まさにイラストレーターという仕事にたどり着きました。ココちゃんを描き続けて、早13年になります。
――今まで描いた絵の中で、特に思い入れのある絵を見せてください。
RYO:友だちにどんなLINEスタンプを描こうか相談していた時、アイデアをもらいました。それを言われたまま絵に表現したものがこちらです。


想像とピッタリだ! と喜ばれました。このスタンプは他の友人たちからもよくお気に入りだと言ってもらいます。私の中でよくあることなのですが、人からもらったアドバイスを素直に聞いて動くと、結果いいことに結びつきます。
なので、大抵のことはすぐに周囲に相談します。ちなみに、相手は言葉で私は絵、というキャッチボールが得意です。
――スタンプがヒットして、日常生活にどんな変化がありましたか?
RYO:Facebookにココちゃんのオフィシャルページがあるのですが、「いいね!」の数が激増しました。LINE人口の多さを改めて認識しました。初めてスタンプを出した時にFacebookでお知らせしたところ、50以上ものコメントをいただきました。後にも先にもそれを超えたことはありません。本当にびっくりしました。
スタンプ作りのコツ
――スタンプ作りにチャレンジしようと思ったキッカケは何ですか?
RYO:毎年11月に個展を開いているのですが、ファンの方々にずっとずっと毎回毎回「LINEスタンプを作ってほしい」とリクエストされていました。
そんなに皆さんにおっしゃっていただくのに、出さない理由はもはやないな、と重い腰をあげました。「白い犬の生活」の作者であるchikuponさんとは以前からの仲良しで、常に私のお手本なので、彼がスタンプを作ったことで更に背中を押されました。
――ヒットスタンプを作るポイントは何だと思いますか。
RYO:色鉛筆や手描きの質感というものが、比較的いま少なくなってきている気がします。そのあやふやな線や微妙に変わる目の位置とか、一定でない有機的な部分が、自分の強みかもしれません。
ただ、コンピューターできれいに描かれた太い線のものたちが並ぶ中で、あまりに繊細で華奢な線のものはどこかインパクトに欠けるので、LINEスタンプを描くときだけ、ペンは太いものを使うようにしています。
――「COCO and Wondrous Gang」のセリフや表情は、どのようにアイデアを生み出していますか? 何かヒントになっているものがあれば教えてください。
RYO:機会があれば小さな子どもをよく観察しています。スケッチブックにその表情を描くと、言葉も勝手についてきます。
――ご自身の作品のなかで、売れたスタンプと売れなかったスタンプにはどんな違いがありますか?
RYO:第2弾はバレンタインを意識して描いたのですが、少し女子っぽくなり過ぎたのか、他と比べて弱かったかなと思います。主人公が女の子なので、つい女子が使うスタンプ、となってしまいそうですが、そこはなるべく中性的なイメージで世界観を作りたいと思っています。
■COCO and Wondrous Gang 2

■COCO and Wondrous Gang 2

――スタンプを作るときには、使用シーンややりとりなどまで想定していますか?
RYO:あまり限定したシーンにならないように、努めています。
――40種類ものイラストを描き上げるコツ(アイデア出し、作画、スピードアップ術など)を教えてください。
RYO:アイデア出しは、とにかくあらゆる友だちに助けてもらいます。様々な職業の友人がいるので、私ひとりでは思いつかないシーンもたくさんあり、なるほど! と思うアイデアをもらうことができます。あと、意外に時間をかけて丁寧に一つ一つ描いているので、スピードアップ術とは逆行しているかもしれませんが、かえって自分の中でのボツが出にくいかもしれません。
オススメのスタンプ
――最近オススメのクリエイターズスタンプを教えてください。その理由も一言聞かせてください。
■ウサギ魂
RYO:めいっぱい動き回って音も聞こえてきそうなほどの臨場感とインパクト。
■
うさまる
RYO:言葉の選択と言葉の添え方が好き。
RYO:キャラクターのアクションも笑えるのですが、文字のデザインが特に好き。
■黄色いヤツ、もっと。
RYO:この子はひたすら可愛い。
RYO:この子はひたすら可愛い。
■白い犬の生活
RYO:シンプルでオシャレ。
RYO:シンプルでオシャレ。
――今後、どんなスタンプを作りたいですか? アニメーションスタンプに興味はありますか?
RYO:出来うる限り周囲の要望に応えられたらと思っております。アニメーションスタンプに興味あります! できるか否かは別として……。
最後に
――スタンプ作りを頑張っている読者(クリエイター)に、メッセージをお願いします。
RYO:スタンプ作りのいいところは、気負って大作を描く必要がなく、5cm四方くらいの小さないたずら描きをひたすらたくさん描くことなので、私の場合「こんなに楽しいものなんだ!」とワクワクしながらいろいろ描いてみています。
ワクワク楽しいと思えるところまで描き切ってみたら、きっとその気持ちに同調してくださる方と繋がっていけるのではないでしょうか!
プロフィール

RYO(サカモトリョウ)
アメリカ・イタリアの大学にて美術を専攻後、カリフォルニア芸術学院(CalArts)映画学部の修士課程を卒業。口笛が得意な女の子・ココちゃんの生みの親。
はじめてのココちゃん絵本「Toujours Ensemble!(いつでもいっしょ)」をフランスで出版。2014年にはココちゃんの小さな画集「ココちゃんの絵日記」(ポプラ社)、2015年には作家・映画プロデューサーの川村元気さんと共著「パティシエのモンスター」(マガジンハウス)を出版。
▼こちらでもクリエイターズマーケットの最新情報を発信しています!