「目が笑ってない着ぐるみたち 2」や「お前の気持ちを俺が酌む」など、全く違うテイストのヒットスタンプを連発し、8月度の月間MVPをさらったポテ豆さん。

福岡県在住の“覆面”イラストレーター兼スタンプクリエイターです。
これまで、36種類(2015年9月現在)のスタンプを制作。決して、最初からヒットを飛ばしていたわけではなく、何度も試行錯誤を繰り返し、ユーザーに支持されるスタンプを作り上げていったそうです。
今回は、そんなポテ豆さんに、ヒットスタンプを生み出した経緯や創作活動のルーツ、さらに、今後の野望について聞きました。貴重なラフ画も披露してくれました!
■目が笑ってない着ぐるみたち 2

■お前の気持ちを俺が酌む

ルーツは絵を褒めて伸ばす教育?
――イラストを描くようになったキッカケを教えてください。
ポテ豆:幼稚園の頃に先生から絵を褒められて以来、絵を描くことが特に好きになりました。
後で知ったことなのですが、その当時その幼稚園では絵を褒めて伸ばす教育を実践されていたらしいので、教育方針で褒められただけなのかもしれないです(笑)。
それでも私は単純に浮かれて絵を描きまくって今があるわけで、人を褒めるって大事なことだなと思います。
――今まで描いた絵の中で、特に思い入れのある絵を見せてください。その理由も教えてください。
ポテ豆:上の話の続きになりますが、幼稚園で最初に褒められた絵は今でもよく覚えています。その絵の実物はもう無いのでお見せできないのが残念です。
私は今まで義務教育の授業以外で絵をちゃんと習ったことがなく、独学で描いてまいりましたので、絵を好きになるキッカケを作ってくださり楽しさを教えてくださった幼稚園の先生が私の絵の師匠だと思っています。その師匠から褒めていただいた絵なので、私にとっては特別なのです。
ポテ豆:上の話の続きになりますが、幼稚園で最初に褒められた絵は今でもよく覚えています。その絵の実物はもう無いのでお見せできないのが残念です。
私は今まで義務教育の授業以外で絵をちゃんと習ったことがなく、独学で描いてまいりましたので、絵を好きになるキッカケを作ってくださり楽しさを教えてくださった幼稚園の先生が私の絵の師匠だと思っています。その師匠から褒めていただいた絵なので、私にとっては特別なのです。
スタンプの便利さって、そもそも何だろう
――「目が笑ってない着ぐるみたち」「お前の背中を俺が押す」を作った経緯を教えてください。
ポテ豆:「目が笑ってない着ぐるみたち」を作る頃には、すでに30種類のスタンプを作っておりまして、その中でもそこそこ売れたスタンプが表情の乏しいスタンプだったのです。表情豊かに作ったスタンプはだいたいコケました(苦笑)。
その苦い経験を踏まえて、新作は表情が硬いキャラクターをと考え、絶対に表情が変わらない着ぐるみに至りました。着ぐるみは表情に変化が無いので、全身の動きと光と影の描き方で感情が伝わるように工夫しています。
伝えたい気持ちはあるのに言葉が見つからないってこと、あるじゃないですか。背中を押してあげたいのに、何て言えばいいのか迷ってしまう。
そんな時に、「すぐに使えてすぐに効く40種類の背中押し有効成分がアナタの語彙不足をサポート!」というスタンプなら便利に使っていただけるかもしれないと考えて作りました。

制作期間は「着ぐるみ」が10日ほどで、「お前の…」が約20日です。CLIP STUDIO PAINTで作っています。ラフから仕上げまで全てペーパーレスなペンタブ作業です。
■「目が笑っていない着ぐるみたち」のラフ画

■「お前の気持ちを俺が酌む」のラフ画

――「目が笑ってない着ぐるみたち」は、どんなキャラクターなのでしょうか。
――「お前の…俺が…」「目が笑っていない…」の人気の要因は、どんなところにあるとお考えですか?
ポテ豆:「お前の…俺が…」は、使ってくださる方それぞれが思い描く「お前」と「俺(私)」を投影するスクリーンになるように、真っ白で無個性なキャラクターを用意しました。
そこに加えて、自分がされて嬉しい行為でもある「背中を押す」と「気持ちを酌む」を盛り込んだことで、されて嬉しいことはしてあげたいという幸せな連鎖が生まれて、多くの方に届いたのではないかと思います。というより、そう思いたいです(笑)。
「目が笑ってない着ぐるみたち」は、いたずら心を刺激するスタンプに仕上がったと思っています。言い換えると、相手がどんな反応するのか見てみたくなるスタンプでしょうか。また、連投すればより楽しくなる構成になっておりまして、組み合わせ次第で色んなギャグが作れます。

スタンプを使う側の気持ちで考えた時に、自分が送信したスタンプそのものが面白がられるよりも、スタンプの使いこなしで笑ってもらえるほうがずっと気持ちがいいと思うのです。
トークの相手に「そのスタンプ面白いね」ではなく、「そのスタンプ使うの面白そう」と思わせるのが流行るスタンプだと思うのですが、それが「着ぐるみたち」では上手く表現できたのかもしれません。
人の創作意欲に火をつけたい
――スタンプがヒットして、日常生活にどんな変化がありましたか?
ポテ豆:お問い合わせのメール対応に忙しくなりまして、睡眠時間が減って健康状態(特に毛髪の生え際)に変化がありました(笑)。マスクをかぶっているのはそういう意味じゃないです……!
それはさておき、おかげさまで絵を描くことでチャンスをつかむという貴重な体験をさせていただいております。その結果として、絵を描くことは夢があるよ! と発信することにある程度の説得力が出てきたように思います。
今後はより多くの方々の創作意欲に火をつけるような活動をしたいという私自身の新しい目標ができましたし、そのことで日常に張り合いが出てきたことは大きな変化です。あ、それと、カルピスを濃い目に作ってもビビらなくなりました(笑)。
今後はより多くの方々の創作意欲に火をつけるような活動をしたいという私自身の新しい目標ができましたし、そのことで日常に張り合いが出てきたことは大きな変化です。あ、それと、カルピスを濃い目に作ってもビビらなくなりました(笑)。
――スタンプの売り上げで買った(買おうと思っている)一番高価なモノは何ですか?
ポテ豆:カッコイイスポーツカーを買おうと思っています。昔からスポーツカーが好きなので、それを作って売る仕事をしてくださる方々に対して、リアルな方法で応援できるのが嬉しいです。
また、何かをしたいと思った時に、金銭的な面で超えられるハードルの高さが上がりましたので、やりたいことをやりたいと思ったタイミングでやろうと思います。
会いたい人に会いたい時に会いに行き、欲しいものを欲しい時に得るのは、金額の多少に関わらず贅沢なことですよね。
私のスタンプについて、対価に見合うと納得してくださる方々から得られるものが売り上げですので、私もまた私にとって価値を感じるものに対価をどんどん払っていきたいです。
――自分の作品以外で、これはスゴいと思うクリエイターズスタンプがあれば、教えてください。
ポテ豆:自分以外の作品を見ないようにしていますので、代わりに見ない理由を話していいですか? スゴイと思えるような魅力的な作品を見てしまったことで、自分の作風が変わってしまったら……と考えると恐ろしいからです。
私のスタンプを買ってくださる方の中には、私の作風を好んでくださる方もいらっしゃると思います。もし私が誰かの作品に影響されて、誰かの何かに寄せたスタンプを作ってしまったら、私の作風を気に入ってくださる方をガッカリさせてしまうかもしれません。それは作り手として誠意に欠けることだと考えます。
また、スタンプを見てスタンプ作りの参考にするというのは、ヒント得るというより答えを見るに近い感覚がありまして、そうなると発想力を怠けさせて弱らせてしまいそうな不安もあります。
そんなに精神的に強くないので、個性を守って発想力を維持するために必死なんです(笑)。
アニメーションスタンプで悪巧み
――今後、アニメーションスタンプやサウンド付きスタンプを作るなら、どんな内容にしたいですか?
ポテ豆:アニメーションだからこそ伝わるスピード感や距離感、硬さ柔らかさなどを、変なことに使えないかと悪巧みしています。くっくっく……。
▼ポテ豆さん(@potekol)がTwitterで実施したアニメーションスタンプのユーザーアンケート
――ポテ豆さんのスタンプを愛用している皆さんに、伝えたいことがあれば、お書きください。
ポテ豆:ご愛用くださいまして誠にありがとうございます! 皆様の日常に、私のスタンプで一瞬でも笑いが増えることを願っております! また、LINEスタンプは使うのも楽しいですが、作るのも楽しいですよ。
ポテ豆:ご愛用くださいまして誠にありがとうございます! 皆様の日常に、私のスタンプで一瞬でも笑いが増えることを願っております! また、LINEスタンプは使うのも楽しいですが、作るのも楽しいですよ。
誰もが必ずヒット作を生み出せるとは言いませんが、試行錯誤と創意工夫でその確率を上げることは可能です。
私が出したスタンプにも消しゴム一個さえ買えない売り上げのものがあります……(笑)。それでも、その反省を次の制作に活かしながら改善してきて、いくつかのヒット作を出せました。
しかしながら、確実にヒット作を生み出す方法というのは、私にもまだ分かりません。ただし、そういう状況だからこそ、まだまだ探究の余地がありますし、誰も見たことがない斬新な大ヒットスタンプが生まれる可能性が十分にあると思います。
やるかやらないかのLINEを超えて、次のチャンスをつかむ方が1人でも多く出ることを願います!
プロフィール

ポテ豆 (ぽてまめ)