アメリカンコミックのようなポップな絵柄に、関西弁のセリフをのせたスタンプ「アメリカンポップ関西弁」で、「LINE Creators Stamp AWARD 2014」のグランプリを獲得した小嶋わにさん。
大学に籍を置きながらも、グランプリ受賞を機に仕事の幅を広げ、本格的にクリエイターとしての道を歩み始めています。
そんな小嶋さんに売れるスタンプを作るコツや、副賞の「アニメーションスタンプ販売権」を使って制作した「動・アメリカンポップ関西弁」について、話を聞きました。
■動・アメリカンポップ関西弁
大学に籍を置きながらも、グランプリ受賞を機に仕事の幅を広げ、本格的にクリエイターとしての道を歩み始めています。
そんな小嶋さんに売れるスタンプを作るコツや、副賞の「アニメーションスタンプ販売権」を使って制作した「動・アメリカンポップ関西弁」について、話を聞きました。
■動・アメリカンポップ関西弁
●グランプリ受賞が人生の転機に
――「LINE Creators Stamp AWARD」でグランプリを受賞して、その後、生活にどんな変化がありましたか?
小嶋:テレビを見た友だちからLINEがきて「なんで映っているの?」と言われたりしました。お仕事の関係だと、雑誌のイラストのお仕事を頂くようになりました。
それまでも、イラストの依頼はあったのですが、誰でもできる仕事が多かったです。企業から「私の絵でお願いしたい」という仕事を頂けるようになったのは、アワード以降ですね。
お知らせ遅くなりましたが、雑誌Seventeenの「ふぁぼ!」というコーナーのイラストカットを描かせていただきました。イラストは全部で五つ。今月号から一年間毎号掲載されます。よかったら見てね。 pic.twitter.com/BrGyz7WjjM
— 小嶋わに (@stampopp) 2015, 4月 17
――今は、まだ大学生なんですよね?
小嶋:はい。学籍はあるんですけど、休学状態です。いつ休学届を出そうかな……と思っています。
もともと、就職に有利な資格をとるために通っていましたが、本格的に学ぶ前に、LINEスタンプができてしまって、そちらに切り替えました。今はイラストレーターを生業にしていこうと思っています。学費は自分で払えるので、続けてはいるけれども……って感じです。
――「小嶋わに」という名前の由来は?
小嶋:もともと違うクリエイター名でスタンプを出していたのですが、他の人とカブってしまったので、改名しました。「わに」は、父の日にプレゼントしたクロコダイルのシャツからです。「小嶋」は、ネットの姓名判断が良かったからです。あまり深い意味はないんです……(笑)。
――スタンプの売り上げで、何を買いましたか?
小嶋:パソコンを買いました。ノートパソコンとWACOM Bambooの一番小さい機種を使っていたんですが、パソコンが古くなって、動きが遅くなってしまったので、デスクトップのiMacと、ワコムの液晶タブレットを買いました。
小嶋さん愛用の、AppleのiMac 27インチと、ワコムのCintiq Companion(DTH-W1300H)。引っ越したばかりの新居で撮影してくれました。
●アメリカンポップ関西弁のルーツ
――イラストを描き始めたキッカケは?
小嶋:幼稚園の頃から、紙と鉛筆があると静かだから助かる、と言われていました。絵を描くのが好きで、ずっと描いていましたね。
小学校の頃は「ポケモン」や「名探偵コナン」を描いていました。コナンのメガネが意外と難しいんですよ(笑)。中学に入ると、オリジナルの絵を描くようになって、絵が好きな友だちとイラストの交換ノートをしていましたね。
修学旅行記の表紙を頼まれたり、部活のコンサートのポスターの絵を描かせてもらったり。先生から「勉強忙しいと思うけど、これもお願いね」ってイラストを頼まれると、好きだから、次の日に持って行くような子でした。
――その当時から、「アメリカンポップ」のようなタッチの絵を描いていたんですか?
小嶋:ぜんぜん違いました。少女漫画のような細かい絵を描いている時もありました。
「アメリカンポップ関西弁」は、発売の前年に、美術館で見た「アメリカン・ポップ・アート展」の印象から生まれました。好きだけど、名前がわからなかった絵(ロイ・リキテンスタインの作品)がたくさんあったんです。当時の私の中でブームでした。
線が太くて、シンプルで、カラフルで、いいなあって思って。技術が未熟なこともあって、私っぽい絵になっていますが、ルーツにはなっていると思います。
●売れるスタンプを作るコツ
――自作スタンプで一番売れているものは?
小嶋:「アメリカンポップ関西弁」ですね。でも、認知度は「サングラスベイビー」の方が高いと思います。スタンプの無料配布をしてもらったこともあって、たくさんの方に使って頂いているようです。
――無料配布の施策以外で、スタンプをヒットさせるコツがあれば教えてください。
小嶋:ないですね(笑)。いや、でも、シンプルなのはいいと思います。絵やメッセージがシンプルだと、どんな人でも使いやすいですよね。あるいは、凝りに凝ったスタンプですね。なので“二極化”していると思います。シンプルか、ネタに振り切っているか、のどちらかが売れているのかなと思います。
――普段、スタンプをどんな流れで作っていますか? 手順を教えてください。
小嶋:はい。(1)まずはセリフを書き出します。絵柄をボツにすることが多いので、まずはセリフを書き出すのが効率いいです。セリフを30個~40個出しておいて、過不足を調節します。
多めにセリフを用意できた場合は、そこから、面白くないもの弾いていきます。「おはよう」「ありがとう」は、あると便利なんですけど、他のスタンプでもたくさん出ているので、弾いてもいいかなと思っています。
ただ、シンプルなスタンプを作ろうと考えているときは、戻したりもしますね。そのあたりは、ネタ重視なのか、使いやすさ重視なのか、で変わってきます。その時には、だいたいモチーフも固まっています。
モチーフから、(2)具体的な絵の中身を決定する作業に入ります。実際にパソコンでラフを描いていきます。次に(3)ラフから下書きをして線画を作ります。その後に(4)着色。それが終わったら、(5)文字入れの作業に移ります。
さらに(6)余白のサイズなど微調整の作業をしていきます。最後に、全体をチェックして、終わりです。
■小嶋さんのスタンプ作りの工程と所要時間
特に、絵の決定から、線画までが時間がかかって、長くて3週間、短くても10日ぐらいはかかってしまいます。早いクリエイターは、2日で描いちゃうそうですが、私にはできないなと思います。
――実際に、LINEキャラクターをアメリカンポップ風に描いてみていただけますか?
――アニメーションスタンプの場合は、もっと大変そうですね。
小嶋:静止画のスタンプでは、2日ほどで1個の絵柄ができますが、アニメーションスタンプだと4、5日かかります。1個の絵柄に10枚はイラストが必要なんです。単純にイラストの枚数が違います。
■動・アメリカンポップ関西弁
■動・アメリカンポップ関西弁
●アメリカンポップの描き方を実践
――実際に、LINEキャラクターをアメリカンポップ風に描いてみていただけますか?
まず、極細のボールペンで下書きをしていきます。
次に、サインペンで線画を作っていきます。まずは顔から。
さらに腕や体を描いていきます。太い線が「アメリカンポップ関西弁」の特徴だそうです。
さらに文字入れ。アメリカンポップ関西弁のジェームズ!?
今回は斜線で色付けしていきます。ジェームズの青い瞳があざやか!
最後に、洋服も色付けしていきます。
イケメンすぎるジェームズとアメリカンポップ関西弁の共演イラストが完成しました! 制作時間は約15分。
●今後はグッズ展開も視野に
――最後に、今後の目標を聞かせてください。
小嶋:「アメリカンポップ関西弁」は、これはこれでいいと思うんですが、LINEスタンプ以外にもジャンルを広げるには、「サングラスベイビー」の方が合っているかもと思っています。キャラクターとして独立させられるので。女の子や兄弟を作ったりして、それをグッズ化してみたいです。
でも、その前に、ちょっと休みたいです。ゆっくり温泉にでも行きたいですね(笑)。
でも、その前に、ちょっと休みたいです。ゆっくり温泉にでも行きたいですね(笑)。
小嶋わに (こじま わに)
学生/イラストレーター。「LINE Creators Stamp AWARD 2014」でグランプリを受賞。
Twitter:https://twitter.com/stampopp
【写真撮影/大川晋児】