“できるだけ人と関わらずに済む仕事”として、マンガ家を選んだという鴻池剛さん。
個人HP「ウッドブック」で日記マンガを公開することからスタートし、現在は「崖っぷちルームシェア」(チャンピオンクロス/秋田書店)などの連載を持つほか、ツイッター(@TsuyoshiWood)のフォロワーが39万人を超えるなど、注目を集めています。
●独特すぎるスタンプ活用法
――仕事のやり取りでもLINEを活用されているそうですが、いつ頃から使っていますか?
鴻池:3、4年ぐらい前から使い始めたのですが、最初は周りの人が使い始めたから「自分もやらなきゃな……」というのが本音でした。ただ、使ってみたらとても便利で。仕事でのやり取りもそうですけど、グループではなく1対1でやり取りするのが基本です。
――スタンプは使いますか?
鴻池:……実は使わないんですよ。メールが主だった時代でも、絵文字などは使っていませんでしたから。ごくごくたまにスタンプを使う場面はありますが、それは「このやり取り、いつまで続くのかな……もう終わらせたい」って面倒くさくなった時です(苦笑)。
ずっと文字ベースでやり取りしていたのに急にスタンプを押したら、“そろそろ終わり感”を出せるかなと思いまして。
ずっと文字ベースでやり取りしていたのに急にスタンプを押したら、“そろそろ終わり感”を出せるかなと思いまして。
――スタンプを使わない鴻池さんが、なぜスタンプを制作したのでしょうか?
鴻池:「作って!」「作れ!」という声が多くなってきたんです。マンガを見てくださっている方たちから。あとは、仕事で関わっている人たちが「お金になるよ」って言ってきまして(苦笑)。そんな流れで作ったので、自分ではやっぱり恥ずかしいので使わないですね。
読者の皆さんから「スタンプを買いました!」っていうコメントをいただきますが、やっぱり恥ずかしいので「ありがとうございます」という言葉だけでお返事しています。すみません……。
読者の皆さんから「スタンプを買いました!」っていうコメントをいただきますが、やっぱり恥ずかしいので「ありがとうございます」という言葉だけでお返事しています。すみません……。
――スタンプを制作する上で気を付けたことは?
鴻池:自分が描いたマンガの中で、「このシーンをスタンプにしてほしい」という声が多かった場面をセレクトしました。スタンプとしての使いやすさより、リクエストを優先した感じです。過去に描いたシーンを改めて描き下ろしたほかに、いくつかはまったく新しいものもあります。
ドアのところで“ジーッ”と見ているのとか、
この“背中”とかも。
ドアのところで“ジーッ”と見ているのとか、
この“背中”とかも。
●スタンプ売り上げの使い道
――リリース後、一時は人気ランキングで1位になりましたが、ご存知でしたか?
鴻池:売上はリアルタイムで見られたので、そこは細かく確認していました(笑)。ランキング1位は人から聞いて驚きました。ありがたいです。
――売り上げの使い道は?
大変お待たせしました!
LINEスタンプが販売開始されました!
よろしくお願いします!
http://t.co/fyXp4UNvt4 pic.twitter.com/cyjHk4cmKK
— 鴻池 剛 (@TsuyoshiWood) 2015, 3月 9
――売り上げの使い道は?
鴻池:借金があるので、とりあえず返済がメインですね。
――初めて原稿料が発生する仕事の依頼がきたのはいつ頃でしょうか?
鴻池:6年ぐらい前に、「オモコロ」というサイトから仕事をいただきました。当時は20万円ぐらいしか借金はなかったんですけど、初仕事はやっぱりうれしかったですね。
現在は雑誌などを含めて4本ほど連載を持っていますが、別の仕事も続けています。詳しくは言えませんが“小さなショップ”の雇われ店長です。
現在は雑誌などを含めて4本ほど連載を持っていますが、別の仕事も続けています。詳しくは言えませんが“小さなショップ”の雇われ店長です。
――それは驚きです。かなりお忙しいのでは?
鴻池:今までにない状況なので、やはり忙しくて首が回らない状態です。元々ゲームが大好きで、やりたいソフトがたくさん出ているんですけど、レビューサイトを見ては内容を想像して我慢するというのを繰り返しています。
――今回のスタンプのメインモチーフでもある“猫”は大人気ですが、どんよりしているというか、無表情ですね。
鴻池:そうですね、無表情だと思います。犬を飼っていたことがあるんですが、犬に比べて猫はアピールが少ないですし、犬は感情を全身で表現してくるんですけど、猫は淡々としてるというか……そこがいいところと言えばいいところだと思いますが。
●プロのマンガ家が見せるこだわりとは?
――このインタビューに登場していただく方には、毎回、LINEのキャラクターを描いていただいています。プロの方に描いていただくのは恐縮ですが……。
鴻池:大丈夫ですけど、そう言われるとハードルが上がりますね(苦笑)。
(1分後……)
(1分後……)
ブラウン(左)とコニーです。
ニャアアアン!!
――この絵のコンセプトは?
鴻池:うちの猫は、「体のどの部分から出しているの?」という感じで「ニャアアアン!!」って鳴くんですよ。僕が描くマンガの中で、「あの場面が好き!」と言っていただくことが多いので、そのまま描きました。
――ちなみに、クリエイターズスタンプを購入したことは?
鴻池:知り合いの方のスタンプはあります。地獄のミサワさんの「うるせーヤツ」とか、pさんの「誤爆取り消し人」。あとは山本さほさんの「岡崎に捧ぐスタンプ」と「あいつ。」や、春原ロビンソンさんの「がくモン!」です。
■地獄のミサワ(うるせーヤツ)
■誤爆取り消し人
■岡崎に捧ぐスタンプ
■がくモン!
■地獄のミサワ(うるせーヤツ)
■誤爆取り消し人
■岡崎に捧ぐスタンプ
■がくモン!
――では、あえてクリエイターズマーケットの中から気になるスタンプを選んでください!
鴻池:今回の取材のお話をうけて、少し見てみたんですよ。その中で気になったのは、「竹内力 第二弾」ですね。渋いな~と。
■竹内力 第二弾
鴻池:全体的には(一覧を見ながら)動物でも人間でも、白いキャラクターが結構人気あるみたいですね。シンプルで場所を選ばないから使いやすいのかな。この「もちごま」もいいなぁ。
■もちごま
鴻池:何て言うんでしょう、見ていると“かわいそう”になってくる絶妙な表情がいいですね。単に“かわいい”っていう感じの絵にはあんまり興味がないんです。
でも、いろいろ見てみると、やっぱりミサワさんのは面白いなぁ。
■竹内力 第二弾
鴻池:全体的には(一覧を見ながら)動物でも人間でも、白いキャラクターが結構人気あるみたいですね。シンプルで場所を選ばないから使いやすいのかな。この「もちごま」もいいなぁ。
■もちごま
鴻池:何て言うんでしょう、見ていると“かわいそう”になってくる絶妙な表情がいいですね。単に“かわいい”っていう感じの絵にはあんまり興味がないんです。
でも、いろいろ見てみると、やっぱりミサワさんのは面白いなぁ。
鴻池 剛 (こうのいけ つよし) Twitter:@TsuyoshiWood
個人HP「ウッドブック」にて「鴻池剛の漫画日記」を発表し注目を集める。Webサイト「オモコロ」でプロデビュー。現在は「オモコロ」で4コママンガを担当するほか、「別冊チャンピオン」(秋田書店)にて「崖っぷちルームシェア」、「月刊コミックフラッパー」(メディアファクトリー)にて「ヒモメン」、webサイト「パチ7」にて「つよパチ 負けたらノーギャラ3万勝負」が連載中。「ウッドブック」で継続更新されている「猫漫画日記」は、2014年末に雑誌「ダヴィンチ」の企画で発表された「次にくるマンガ大賞/本にして欲しいWeb漫画」部門で2位に選出された。