
「大人計画」の主宰にして、作家、演出家、俳優、映画監督、コラムニストなど、さまざまなジャンルでファンを魅了する松尾スズキさん。昨年、上梓された自身初の絵本「気づかいルーシー」のキャラクターを使ったLINEスタンプがリリースされていることもあり、多才なクリエイターのLINEライフに迫ってみました。
もともとマンガ家志望だった松尾さんのスタンプ選びのこだわり、また、4月4日公開の監督最新作「ジヌよさらば~かむろば村へ~」での“絵”を使った演出など、驚きの証言をいただきました!
暇つぶしの似顔絵から演出まで!?
――まずは、普段のLINEライフについて教えてください。

松尾:普通に使ってます。やり取りする相手は、知り合いと嫁ですね。スタンプも使いますけど、あんまり新しいものは持っていません。ほとんどLINEを始めたころに購入したものです。「楳図かずお恐怖スタンプ」「絶叫!萌える!まん○画太郎」「巨人の星」とか。
新しいところでは、田辺誠一くんの「かっこいい犬。」や、自分で描いた「気づかいルーシー」も使います。それを受け取った相手が、つい買っちゃってくれればいいな……と思いながら使ってます。
新しいところでは、田辺誠一くんの「かっこいい犬。」や、自分で描いた「気づかいルーシー」も使います。それを受け取った相手が、つい買っちゃってくれればいいな……と思いながら使ってます。
■気づかいルーシー

■かっこいい犬。

――絵を描くことは、松尾さんにとってどういう行為なのでしょうか?
松尾:ごく日常的なことですね。特別ではなく、どちらかというと僕の原点に近いと言えるかもしれない。マンガ家志望でしたから若い頃はマンガばっかり描いていました。
ですから、何かを発想すること自体、描くことからの地続きみたいな感じです。自分の俳優としての“動き”も含めてね。今でも、暇になると誰かの似顔絵を描いたりしています。

ちなみに、こちらは松尾さんがサラッと描いてくれたブラウン。
ですから、何かを発想すること自体、描くことからの地続きみたいな感じです。自分の俳優としての“動き”も含めてね。今でも、暇になると誰かの似顔絵を描いたりしています。

ちなみに、こちらは松尾さんがサラッと描いてくれたブラウン。
――その似顔絵はどなたかに披露するのでしょうか?
松尾:LINEのグループで、僕の担当編集者たちと組んでいる「松尾会」というのがあるんですよ。10人ぐらい参加しているんですけど、その人たちに向けて「この似顔絵、どう?」という感じで送りつけます。
それで、みんなで……笑うと。「この絵、悪意ありすぎません?」って返ってきたりします。
舞台や映画の演出をする際にも、言葉より絵で伝えたほうが分かりやすい場合は、まあ、仕事として自分の絵を見せてますね。絵コンテライターに一枚の絵を描いて見せて、「こんな感じの流れでコンテにして」という指示を出します。

それで、みんなで……笑うと。「この絵、悪意ありすぎません?」って返ってきたりします。
舞台や映画の演出をする際にも、言葉より絵で伝えたほうが分かりやすい場合は、まあ、仕事として自分の絵を見せてますね。絵コンテライターに一枚の絵を描いて見せて、「こんな感じの流れでコンテにして」という指示を出します。

――映画「ジヌよさらば~かむろば村へ~」の制作過程でも“絵で伝える”ことはあったのでしょうか?
松尾:アクションシーンなんかで使いました。例えば主役の松田龍平が殴られる場面があって、相手が拳を突き出す姿をどのアングルから撮るのかを伝えたり。
横からなのか、上からなのか、もっと全然違う位置からなのか。拳の形を絵にして見せれば一発でしょ。出演者に「ちょっとこういう感じの表情をして」っていう説明をする時などにも、絵で伝えることはあります。
自分の絵的なこだわりを言葉にするのが難しいことってあるんです。
――なるほど。では、スタンプ選びにも何かこだわりはありますか?横からなのか、上からなのか、もっと全然違う位置からなのか。拳の形を絵にして見せれば一発でしょ。出演者に「ちょっとこういう感じの表情をして」っていう説明をする時などにも、絵で伝えることはあります。
自分の絵的なこだわりを言葉にするのが難しいことってあるんです。
松尾:あんまりファンシーな絵が好きじゃないんですよ。まあ、「気づかいルーシー」もファンシーかもしれないけど……自分のファンシーはOKなんです。でも、他人のファンシーは許せない(笑)。
松尾スズキが好みのスタンプをお買いもの
――では、そんな松尾さんがどんなスタンプを選ぶのか教えてください。このプリペイドカードで好きなクリエイターズスタンプを買ってみていただけますか?

松尾さんには、スタッフより1000円分のプリペイドカードをお渡ししました。
松尾:分かりました。とりあえず……ファンシーじゃないやつを。

好みのクリエイターズスタンプを探す松尾さん。
松尾:この「寄生獣」はいいなぁ。大好きなんですよ。
■寄生獣 セイの格率

松尾:あと、「テラスハウス」も。いえ、番組は観たことないんですよ。ただ、僕がこのスタンプを使っていたら何か面白いでしょ。
■テラスハウス名言スタンプ

松尾:同じ理由で「壁ドン&胸キュン」も(笑)。
■壁ドン&胸キュンしぐさ
松尾:僕は北九州の出身なんですけど、友だちが使っているのを見て気になっていたんです。ああ、これかな。「北九州弁っち、いいよね」。こうして検索してみると、北九州弁だけでもいっぱいあるんですね。

■中二病オヤジ

松尾:こんなところですかね。
スタンプを使って隣り合わせのLINEトーク
――ありがとうございます。では、私からLINEでいくつか質問をさせていただきます。いま選んでいただいたスタンプなどを使って返信してください。
松尾:“既読スルー”っていうのもありですか?


――えっ(笑)、この距離で、既読スルーは斬新すぎます! どうか、ご返信をください……!
松尾:了解しました(笑)。
――それでは、まずはこんな質問から。

――おっ、これは! 次回作につながりそうな夢ですね。では続いて……、

――最後に「ほなっ!」を使うと“締め”…というスタイルが早くも確立されつつありますね(笑)。


――そんなにお待たせしてないつもりですが(笑)。

――では、こちらの質問で!

――(笑)。スタンプ、割と連打されるんですね。
松尾:相手によっては(笑)。やっぱりファンシーじゃないほうがいいですね。何て言いますか、疲れている感じとかを出したいんですよ。単に許容範囲が狭いとも言えますが、そういうスタンプを使ったりして、自分が浮かれている感じを人に見せるのが嫌なんです(笑)。
監督最新作は、いがらしみきおのマンガが原作
――4月4日(土)公開の映画「ジヌよさらば~かむろば村へ~」は、いがらしみきおさんのマンガが原作だそうですね。
松尾:はい。原作を読んで、僕の世界観に通じるものがあると思いましたね。全部で4巻あるので、それを2時間の映画として圧縮するのは大変でしたけど、内容的には苦労せずに脚本化できたと思います。
一言で表現するならば、“お金を使わずに生活をしようと決心した男の話”。お金に困窮して生活が立ちゆかなくなってしまう人々は多いですよね。今日的でもあるシリアスな問題ですが、それを、やや極端なキャラクターを通して描いています。
その役を松田龍平が演じるところが最大の見どころです。出演俳優が全員“濃い”っていうのも、ゴージャスな感じがしていいでしょ(笑)。
――5月29日(金)からは舞台「不倫探偵~最期の過ち~」の上演も決定されているそうで、そちらも楽しみにしています! ありがとうございました。
■松尾スズキさんのコメント動画
https://www.youtube.com/watch?v=T8N5rqeRxNY
松尾 スズキ(まつお すずき)
1962年12月15日生まれ。福岡県出身。サラリーマン生活を経て、26歳の時に「大人計画」を旗揚げ。その間、イラストレーターとして活動した時期もあった。「ファンキー!~宇宙は見える所までしかない~」で第41回岸田國士戯曲賞を受賞。また、映画監督デビュー作「恋の門」(2004年公開)がヴェネツィア国際映画祭に出品されたほか、小説「クワイエットルームにようこそ」、「老人賭博」で芥川賞候補にも選出されている。
■作品情報
●映画「ジヌよさらば~かむろば村へ~」
(監督・脚本・出演)
(監督・脚本・出演)
●舞台「不倫探偵~最期の過ち~」
(作・演出・主演)
(作・演出・主演)
東京公演:5月29日(金)~6月28日(日) 下北沢本多劇場
大阪公演:7月1日(水)~7月5日(日) サンケイホールブリーゼ